骨粗鬆症は、長年の生活習慣などにより骨がスカスカになって弱くなる病気です。骨粗鬆症になっても、最初は何の症状もありませんが、そのうちに腰や背中が痛くなったり曲がったりしてきます。ひどくなると骨折を起こして寝たきりの原因にもなります。
寝たきりの原因の第1位が脳卒中、第2位が老衰、第3位が骨粗鬆症などによる骨折であることから、超高齢社会が抱える問題の一つとなっています。
一番の問題は骨折しやすくなるということです。特に問題となるのは、手術が必要となる大腿骨の骨折です。
高齢者は、敏しょう性に欠け、骨も老化のためにもろいので、骨折しやすいと誰もが漠然と考えています。しかし、家庭内のちょっとした事故、例えば「布団につまずいた」とか「ちょっと廊下で滑った」といったような普通では骨折しないような出来事によって多くの骨折が発生しているという現実は、あまり知られていません。
骨粗鬆症では、そこまで骨がもろくなっているのです。
骨は固いので、一度つくられると変化しないようにみえますが、実際は絶えず活発な新陳代謝をしています。身体の細胞と同じで、丈夫でしなやかな骨を保つためには、古い骨を壊し絶えず新しい骨につくり変える必要があるのです。
これを骨代謝といいます。ところが、骨のもとになるカルシウムなどの摂取が不足し、身体が老化して骨をつくるためのホルモンが不足してくると、骨をつくる量よりもこわす量の方が多くなります。
こうして骨からカルシウムなどが徐々に減り、骨がスカスカになっていきます。
自分が骨粗鬆症であると気付くのは、骨密度検診などで問診や骨密度測定をして初めて・・・、という場合が多いようです。他の病気と一番違うのは、『自覚症状がない』ということです。痛みなどの症状がなくても進行していき、何かの拍子に骨折してしまうという点が一番やっかいなところです。
すべての年齢または病気に当てはまることですが、予防に勝る治療はありません。できるだけ早く予防を始めるのが一番です。
半年から1年の間隔をあけて骨折部位として重要となる腰椎と大腿骨の骨密度測定を行えば、実際にその間の自分の骨の変化が分かり、「今回も引き続き骨密度が減少しているのか?」「今までの生活で大丈夫なのか?」を判断することができます。
また最近では、骨密度測定に加えて骨代謝マーカーの測定も重要となっています。これにより、骨代謝の状態が分かり、適切な治療薬を選択するのに大事な指標となります。当院では採血により測定します。
各年代での骨の状態を把握することで、食生活や運動などの生活上の指導による予防、あるいは早期治療が始められます。